天地不仁

趣味が見つからない。最近唯一の楽しみはお茶ぐらいで、しかも趣味と言いきるほど種類も飲んでいなければ知識もない。この無知を補うために岡倉天心の『茶の本』を読んだんだけど、中身はおおざっぱに言うと道教的価値観に基づいた芸術論、宗教論、そして死生論でした。入門書としては完璧といっていい構成と、読む人を飽きさせない、魅力的な小話もじつに天晴ですね。
この手の本を読むと、今の自分の思想が100年前の日本のそれと気持ちよく共鳴して、とても心地よいんだけど、その反面、自分の思想、道教の相対的世界観や、時間論が、100年前のそれと呼応していいのか、という不安もある。そういったアジア土産の思想を、西洋的価値観に対するルサンチマン以上の具体的価値に昇華させるにはどうしたらいいのか、というのは実はまだ分かっていない。
分からないままでいいや、と甘やかして来た自分にたいしてしっぺ返しがくる時はいつになるのか、というのを考えると、少し怖い。