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映画にとって、観客および彼らのリアクションは映画本編と同様に重要なんだなあと改めて。
なぜなら、劇場内の空気というのは映画鑑賞者の心理を操作する非常に大きな外部要因だから。映画に対して抱くあらゆる種類の感情 - 笑い、哀しみ、切なさ - を見知らぬ他人と”共有している”という心理は、自然とその作品に親しみを感じさせ、結果として作品に対して肯定的な印象を抱きやすくなるのである。
「映画はDVDで見るもんじゃない、映画館で見なきゃだめなのだ」という標語をよく見る。ところがほとんどの場合、真剣に耳を傾けられる事はなく、映画気狂いの的外れで非論理的な自己肯定と捉えられがち。しかし、ことアメリカで映画を鑑賞する場合には、映画館という空間は映画鑑賞という行為において一番大事で、根本的な要素なのである。
映画体験の大部分がDVD鑑賞である僕にとってこの発見は大きい。あとはこの発見をどう実際作品に生かすのか。