Oslo, August 31st

薬物リハビリセンターに入所している青年、アンドレは、仕事の面接の為一日だけオスロの町へ赴く事を許される。中毒を克服したと自覚してはいたものの、自身の経歴に対する劣等感が災いして、面接に失敗してしまう。その後古い友人と再会する内、愛欲と誘惑に満ちた夜のオスロに、アンドレは徐々に惑わされていくのであった。
全編アンドレの一人称で語られる。薬物患者の呪われた精神を描くために必然的な演出だと思う。しかし、一人称というのは、往々にしてドラマの緩急がつけにくいため、長編映画にとって最も危険な演出技法であるのも事実。Oslo, August 31stもご多分に漏れず、全編通してスローテンポで描かれるため、物語としての面白みに欠けると言わざるを得ない。それでいて、物語の魅力を排してまで語らなくてはならない社会的、あるいは芸術的な主張がこの作品にあるとも正直思えない。
とはいえ、オスロの町並みや郊外の森を落ち着いた彩度で捉えた撮影は一見に値する。そういう点で言えば、ヨーロッパの町並みが好きな僕はそこそこ楽しめました。