ジンクス

前セメスターがとても酷に感じたのは、508の過酷なスケジュールだけが原因ではなく、アメリカではじめて日常的に車を使う生活を強いられたというのも大きい。もっともひどかった瞬間は、508の撮影前日、プロデューサーとしての作業で忙しい最中にショッピングモールの柱に角を擦ってしまった時で、他にもやる事が山のようにあるのに車を修理に出さなくては行けなくなったり、とにかく大変だったのだ。
実は、撮影前の事故というのは少なくなく、その前学期、クラスメートの撮影当日、彼の運転する車が駐車してあったバイクにぶつかり、その後のテンションに大きな影響を与えてしまったという事件もあった。
そういうわけで、今回こそは事件の無いよう慎重に車を運転していたのである。機材レンタルの関係で、撮影前日に運転する距離としてはこれまで以上に多いのだが、決して緊張を緩めないようにして、何とか家までたどり着いた。何とか悪いジンクスを断ち切ったと安心して車を出たとき、やってしまった。鍵が車の中に入ったまま、ドアにロックをかけてしまったのである。
こればっかりはもうどうしようも無い。といっても誰に連絡すれば分からない。明日のデコレーション全部車内だし、どうすんの?ぼうけんのしょが消えるこの絶望感。と、その時奇跡は起こった。何と、前セメスターの撮影中に若干壊れてしまったリアマドが、若干浮いていたのだ。力ひっぱい引っ張ると、窓が取れた!!そこから体を入れて、何とか鍵を取り出す。さすがに今回ばかりは終わったかと思ったけど、運が味方してくれて本当に助かった…。
そんな事件もありましたが、何はともあれ明日撮影初日です。もうこんな事件はこりごりです。全てスムーズにいってくれるよう祈るばかりです。