監督論

USCの大学院は、映画学校とはいえ短編を製作する機会は、実はそこまで多くない。一年目で三本作る以外はオプショナルで、それ以降一本も制作せず卒業する人だっている。そういう中、監督という事に関して学ぶために何をしているのか。
USCの院には監督に特化したクラスが三つある。Intermediate directing、Advanced directing, directing techniqueである。僕はそのうちintermediateとtechniqueを受講した事があり、Intermediateが主に俳優とどのようにコミュニケーションを取るかに特化したクラスで、Directing techniqueがカメラ割りやstaging(俳優の動きの指定)に特化している。
基本的に映画を監督する正しい方法は無い。USCの中でも監督の授業を受け持つ教授は何人かいるが、その人たちの演出論だって一貫性がある訳ではない。例えばある教授は、登場人物間の力関係を常に念頭にいれて演出しようとする。しかし、別の教授は、力関係なんて全くナンセンスだと力説する。結局のところ、そういった色々な解釈に触れながら自分に合う演出法を見いだすのがゴールなのである。